第十段では「家居のつきづきしく、あらまほしこそ、仮の宿り
とは思えど、興あるものなれ」住まいは仮の宿である一方、
周囲の景色に調和する姿が美しいと語っています。この「仮の宿」
という表現には、無常感と共にだからこそそこにこだわりや
美しさが求められています。さらに、「家居にこそ、ことざまは
おしはかられる」としめくくられています。住まいな外観や様子を
見れば、住む人の性格や価値観が見えてくると述べています。
法師の時代、家は生活の基盤でした。無駄に装飾を施した家は
見苦しいとされ、質素でありながら住む人の人柄が感じられる住まい
が理想とされました。現代の住宅デザインにも通じる所があるので
はないでしょうか。機能性や快適さだけではなく、家族や住む人の
個性を反映させることが求められます