現場ブログ

新築「郷の家」工事が始まります。
施主様と同級生と言うこともあって、私が小学校1,2年のころだったと思いますが、
遠渡坂を上がってこの家まで遊びに来た記憶もあります。おもちゃがいっぱい合って子供心に羨ましく思いました。

まさか将来、この家を建て替えるとは夢にも思いませんでした。

既存物件が築45年なので、構造躯体と基礎の状態が良ければ私達が得意とする「リセット住宅」を勧めたかったのですが、
あまり状態が良くなかったため、新築工事になりました。

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三年前に、新潟の夢ハウスイベント「伐採ツアー」に参加していただいて、
大自然の山の中で樹齢130年前後の杉の大木を伐採するところや、
実際に完成した建物や、ショールーム、プレカット工場などを体感してもらいました。
新潟はお酒や食事が美味しいところで、それも楽しみの一つです。
バスツアーを組んで、子供さん含んで20名位でイベントに参加したことを思い出します。
ユキトシ2016新潟伐採ツアー

ユキトシ2016新潟伐採ツアー

株式会社ユキトシ2015年新潟伐採ツアー

ユキトシ2016新潟伐採ツアー

翌年の伐採ツアーは、お父様にも参加していただき、同じように住まいづくりについて体感していただきました。
伐採イベントが終了後は自社育成林の山頂にある夢山荘まで登り、
(所さんの「ぽつんと一軒家」と言う番組にも取り上げられテレビに出たあの場所です!)
夢ハウススタッフの皆さんお手製のカレーと豚汁を一緒にいただきました。

いつもの年に比べてカレーがとても美味しくて2人でおかわりしたことを思い出します。
80歳超えても元気で、おかわりするお父様にビックリしましたが、
食べ終わった後「ちょっと食べ過ぎた~」2人で大笑いです。それくらい美味しいカレーでした。


「郷の家」は日本の伝統工法、在来軸組工法が軸になり、
耐震性、耐久性に優れ、省エネ(断熱、遮熱)で健康住宅(天然木、自然素材)で癒しの空間となります。
自然と共生するという家造りではここまで極めた家造りは他にありません。
実際に新潟の中越地震、中越沖地震と、2度の地震にも一棟だけ倒れなかった実績があります!
NHKのクローズアップ現代にも3度取り上げられました。

地盤改良、基礎工事から完成までをまとめますので、ボリュームがありますがぜひ最後までご覧ください。

工事の様子

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地鎮祭は雨に降られました。雨降って地固まるですが、神主さんも大変です。
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地盤調査してもらったところ、地面から150cmほどが地盤が柔らかく、その下は岩盤があるようですので、杭打ち工法で対応することになりました。

郷の家地盤調査
基礎の接するところに40本の杭を打つことになりました。地震で建物に受けた揺れを基礎→杭→岩盤へと伝えます。この工事に2.5日かかりました。

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基礎の掘削です。重機で基礎ベースになる部分を掘っていきます。
牧之原市郷の家新築現場の基礎
通常、この辺ではベタ基礎といって前面配筋で、前面コンクリートを流す工法が多いのですが、昔からされている布基礎工法で施工しました。

牧之原市/郷の家 基礎コンクリート
基礎のコンクリート打ちを行いました
家の土台となる基礎が狂っていると家が建ちませんから、家づくりの一番最初の大事な部分です。内部の気泡を無くし、表面も整えていきます。

牧之原市/郷の家301S+増築の土台
最近の新築は仕上がりが早いですが、その大きな理由がプレカットで届く材料にあります。

牧之原市/郷の家301S+増築の土台
工場で図面通りに全て加工されて届くので、現場はどんどん組んでいけます。

牧之原市/郷の家301S+増築の土台
プレカットの無い時代はすべて大工が刻んでいましたから、かなりの時短になっています。
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新潟の中越地震、中越沖地震の2度の震災に耐えた理由の一つであるのが床下の構造です。

【一般の在来工法】
根太:45mm×51mm
間隔:303mm

【郷の家】
根太:97mm×97mm
間隔:455mm
一般在来工法に比べ床剛性3.7倍の頑強構造!

【換気孔】
160πの開口が1200cm間隔で入っています。
昔の風窓に比べ4倍の風通しを実現し、
風が多く通ることで床下に湿気がこもるのを防ぎ、木材を長持ちさせます。

地鎮祭も雨に降られてしまいましたが、建て方当日の朝も大雨になりました。
幸いにも、午後から晴れるという予報でしたので予定通り実行しました。
土台、大引き材が汚れないように前の日にイージーコート(養生シート)を敷いておいて良かったです。
牧之原市郷の家土台床断熱

牧之原市郷の家土台床断熱



床面に白く入っているのが断熱材で、厚み75mmのポリスチレンフォームです。
一般名はスチロールですが、魚屋さんで使われているパキパキ折れるスチロールの箱(90倍発泡)とは違い、
30倍発泡はポリスチレンフォームと呼ばれます。実は発泡倍率で呼び名が変わってきます。

原料のビーズを30倍で発砲させると、断熱効率が一番良いことが実験で証明されています。
しかも30倍発泡はとても硬く70kgの人が乗っても割れませんから、土台の間に使っても安心です。

そして、南極大陸の昭和基地で40年間使用しても、ほとんど劣化していないことがわかりました。

断熱材は部屋の内側にピッタリくっついてないと効果を発揮しません。
一般的に使われているグラスウールは値段は安く、施工しやすいですが、
湿気や水に弱いので、一度吸い込んで縮んでしまうと元に戻らないので空気層ができて断熱効果がなくなります。
とにかく断熱材はピッタリくっ付いていないとダメ!劣化しない断熱材を使うことが肝要です。

牧之原市郷の家上棟

牧之原市 郷の家

牧之原市 郷の家

11:00ころから雨が上がり建て方開始です。
あらかじめ材料に順番が振られているので、クレーンで吊りながら大工職人7人で順番通りに立てていきます。
通常の在来工法の建物とは違って、4寸柱と4寸柱の間に工場で作ったパネルをはめ込んでいくのでなかなか大変です。
柱と柱のクリアランスが1mmしかないので、ちょっと傾いたりしているとなかなか入りません。
しかし、パネルがはまると水平、垂直が自動的に決まるという良い点もあります。

パネルには1寸(約3センチ)の枠が4方回っています。
4寸の柱の両サイドが、枠(1寸)+柱(4寸)+枠(1寸)の厚みになるので、6寸の柱が入っていることと同じことになります。
今の時代、6寸の柱が使われている新築はなかなか出会えません。
こんな構造だから、2度の新潟中越地震にも耐えられたんでしょうね。
1階ではパネル入れは大変でしたが、慣れてきたこともあり二日目の2階はスムーズに作業が進みました。
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壁、床の形ができたら、最後は屋根パネルを乗せていきます。屋根倍率2.8倍もあり、水平剛性を強くするので、斜めの揺れにも強い構造になっています。
牧之原市 郷の家
太陽光の赤外線を約96%跳ね返す遮熱シートを空気層で挟み、外気温をシャットアウト。室内の空調は66mmの断熱材で逃がしません。
屋根勾配の斜天井、小屋裏まである間取りでも、1階とロフトの温度差が1~2℃しか変わりません。

牧之原市 郷の家
これを一気に載せていけるので、性能の高い住まいを短い工期で仕上げることでできます。
牧之原市/郷の家 吹付硬質ウレタン断熱
壁の断熱施工として、吹付硬質ウレタンの断熱材を施工しました。
吹き付けると数秒で膨らみながら隙間を埋め、60mmの厚みで家全体を包み込みます。
牧之原市/郷の家 吹付硬質ウレタン断熱
真冬だとこのウレタンの前後で現場の温度がガラッと変わるほど、断熱効果の高いものです。
これから真夏に完成・引渡し後には、エアコンの効きが良くてビックリされると思います!

牧之原市/郷の家 通気工法+遮熱断熱シート
ウレタンの上には通気層を取って遮熱防水シートを施工します。
この通気層が耐久性の大事なポイント!基礎から屋根まで湿気が流れるようになっていて、湿気による柱や壁の劣化を防ぎます。

構造見学会

構造見学会とは、完成前の状態をご覧いただく見学会です。
柱や梁などの素材や、床の下や壁の中など完成したら見えなくなる所の作りをしっかりとお確かめいただけます。

あいにくのお天気でしたが、ご近所の方や新築やリフォームの打ち合わせ中の方など、
多くの方にご来場いただき本当にありがとうございました。
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玄関ホールと廊下は、フローリングを貼る前なので床下の断熱材が見れました。(大引きにぴったりとはまっている白いのが断熱材です)
部屋毎の温度差を作らせないために、1階全ての床に同じように断熱材が入っています。
温度差のある場所は結露が発生しやすくなります。結露はシロアリを呼び、土台や大引きを腐らせる原因にもなるので要注意です。

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こちらも耐久性の展示の一つ、丸型換気孔です。
基礎に120mm間隔で開いた丸型の換気口は、従来工法と比べて約4倍の通気量!風がビュービュー流れていきます。
湿気を感じると土台のヒバから天然の殺菌成分「ヒノキチオール」が発散され、薬品に頼らずとも虫や菌から木材を守ります。

郷の家 構造見学会
他社との素材や構造の違いをお確かめいただけるように、模型や体感グッズも各種並べました。
特にカラーフロアと30mm厚の赤松無垢材それぞれに直接乗って比較していただくと、無垢材の温かさや爽やかさが顕著!分かりやすく比較できます。

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2階は斜天井の開放感ある間取りになっています。
小さいのですが写真中央の窓の上、緑色の2400の表示は通常一般住宅の天井高を示したものです。天井がどれだけ高いか、写真でもよく分かっていただけるかと思います。

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斜天井の部屋は屋根の熱がそのまま伝わってしまうものですが、郷の家は「屋根パネル」に遮熱&断熱の秘密があり、暑くなりません!
遮熱シートがどれだけ熱を遮ることができるか、実験グッズに手を触れていただくと皆さん本当に驚かれます。

内部施工

牧之原市/郷の家の赤松無垢床
木の香りたっぷり!無垢床板
しっかりと乾燥され、反りやねじれの心配のない天然無垢材です。木が本来持つ空気層により断熱効果が高く、真冬でも温かみのある足ざわりです。
真夏はその空気層による調湿作用でベタベタせず、ホコリやダニ、カビの発生を抑える健康素材です。

牧之原市/郷の家の赤松無垢床
敷き詰めた断熱材+無垢の床
床下一面に敷き詰めた断熱材の上に直接貼ることで、上に乗るとご自身の足裏の温かみが床から返ってきます。一年中スリッパ要らずで過ごせます。床下の外気にも影響されないので本当に暖かくて安らぐ床材です。

牧之原市/郷の家 桐の床
優しい桐の床
寝室には、無垢30mm厚の桐床板を貼ります。桐の床は踏み心地が柔らかく、無垢材の中でも特に湿度調整や消臭に優れているので寝室に最適な素材です。夏場のサラサラ感、真冬の無垢の暖かさは桐が一番分かりやすいかと思います!
スカイプロムナード1
ベランダ防水 スカイプロムナード
ベランダ防水は通常FRP防水が多いのですが、夢ハウス長谷川さんの紹介で金属防水もありますということで、スカイプロムナードを使用しました。 早速、全国ネット、福岡に本社の㈱栄住産業の宮本さんが見えて、会社案内と商品説明等していただきました。

スカイプロムナード3
FRP防水は年数が経つと塗装が必要で、塗装メンテナンスを怠ると雨漏りの原因になります。 このスカイプロムナードは不燃材でNM-1981による安心の防火性と、FRP防水と違って長期優れた耐久性を維持できるので、張り替えや再塗装の必要がなく、メンテナンス費用を大幅に軽減できるトータルな経済性が魅力です。

スカイプロムナード4
また、乾式工法の為、天候に左右されることなく施工が可能です。さらに有害な有機溶剤を一切使わない環境にやさしい工法です。
ニチハ Fu-ge ソラニティ
サイディング施工
壁のウレタン断熱の上に防水シートを貼り、一番外側になる外壁を施工しています。構造の状態でもどっしりとしたスタイルのお宅でしたが、レンガ調のサイディングによりさらに重厚感ある印象になっています。
ニチハ Fu-ge ソラニティ
ニチハ Fuge(フュージェ)
仕上がりの美しさとメンテナンスコストの大幅削減を実現した新世代の外装材です。
表面に超高耐候塗料「プラチナコート」採用で、なんと2回分の塗り替えが不要です。


ニチハ Fu-ge ソラニティ

牧之原市/新築 郷の家
腰壁
玄関ホールと廊下には赤松の腰壁がつきます。クロスが汚れやすい部分は腰壁を回してカバーするのもおすすめです。腰壁があると全面クロスより全体の重心が下がって安定感のある印象になります。
牧之原市/郷の家施工中
寝室ヘッドボード
寝室のベッドを置く位置には、桜の模様の入った桐の板を貼りました。こちらもクロスの汚れ防止を兼ねています。さらに、同じ桜の板を天井の際にぐるりと回してアクセントにしています。
牧之原市/郷の家施工中
収納内部は桐仕上げ
写真はキッチン後ろの食品庫(2帖)です。これだけの広さがあればいいですね!壁・天井・棚は全て桐材で仕上げます。桐は湿気を感じるとヒノキチオールという殺菌成分を放出し、カビや虫から荷物を守ります。


郷の家 珪藻土クロス
珪藻土クロス
壁紙は全て珪藻土クロスです。表面に珪藻土を吹きつけた壁紙で、湿度調整や消臭効果があり、優しいクリーム色が無垢材に良く合います。

牧之原市/郷の家施工中
真っ白い壁紙よりもまぶしくないので、無意識のストレスを軽減してくれます。
牧之原市/郷の家施工中
寝室は桐の床に、桐のクローゼット!
桐の床は畳のような柔らかさがあり、足裏からホッとリラックスできるような素材です。

完成

牧之原市/郷の家
玄関
以前の家は玄関が暗いのでとにかく明るい玄関にしてほしいという事で、ホール、廊下に天窓を設けました。
玄関に入ると天然木の香りがしてきます。

牧之原市/郷の家
和室
床の間、仏間、収納をつけました。
西側は西日を避けるためにサッシを分け、上のサッシは採光を入れるため、下は風を入れるために設置しました。

牧之原市/郷の家
和紙畳
縁のない琉球畳で、市松模様の目がおしゃれな雰囲気です。
牧之原市/郷の家
LDK
郷の家基本プランはLDKの真ん中が吹き抜けになっていますが、吹き抜けはいらないと言うことでしたので天井を作り、2階に一部屋増やすことができました。

牧之原市/郷の家
LDK
家具も含めたトータルコーディネートにより、住まいの魅力がより一層高まります。採光、風通しのよさは快適な住環境の基本です。建具はレールの無い上吊りなので床はバリアフリーになっています。

牧之原市/郷の家
キッチン
無垢の床に合う、ウッドワンのスイージーです。キッチンスペースを広く取ったので2,3人が同時に動いても苦になりません。

牧之原市/郷の家
寝室
安眠を誘う桐の部屋になっています。
床、ヘッドボード、収納内部は総桐仕上げ。ニオイの籠もりやすい寝室に最適な素材です。
牧之原市/郷の家
トイレ
トイレの床は足ざわりの良いタモ材で、職人が一枚一枚削って模様をつけています。ウレタン仕上げなので水廻りに使っても安心です。全室バリアフリーになっています。

牧之原市/郷の家
脱衣洗面室
こちらも床にタモ材を使用。

牧之原市/郷の家
システムバス
TOTOサザナです。
今までのタイルの浴室でしたので、暖かさに癒されますね。
牧之原市/郷の家
収納庫
キッチン後ろには1坪の収納庫をご用意。桐仕上げでお米など食品も安心して備蓄できます。

牧之原市/郷の家
2F洋室
斜天井が印象的な空間です。
柱や梁、板張りの天井など、木目に癒されます。吹き抜けをやめることで3部屋取ることができました。
牧之原市/郷の家
2F洋室
1Fの天井が2650mmと高いため、2Fも周りの家より高さがあります。窓からの景色も開放感があります。
牧之原市/郷の家
2F~ロフトへの階段
通常、屋根裏部屋と言うと必要なときだけハシゴをかけて上がっていくのがほとんどですが、一階から2階へ上がっていく階段と同じ階段を設置します。そうすることで一つの空間スペースとなります。

牧之原市/郷の家
ロフト
屋根の真下でも暑くならず、部屋として機能できる秘密は、徹底した遮熱断熱施工にあります。窓からは駿河湾や富士山も見れる寛ぎスペースです。

牧之原市/郷の家
クリエーションパネル
ロフト周りのアクセントに飾り壁を設置しました。桜のくり貫きと自然素材を挟み込んだパネルが目をひきます。


お客様の声


松下久美様より

地元で同級生、友人であり、以前、夢ハウスの見学会で…
新潟まで同行し、木材の乾燥技術をはじめ、
自然環境を活かした家づくりへの取り組み等、
そこに住む人の事を一番に考えた構造や工夫に驚かされ、
この見学会を通じて新築したい気持ちに成りました。

新築に際しユキトシ様との綿密な打ち合わせのもと、
9月2日に新たな家が完成を迎えることと成りましたが、
通気性や断熱性と言った環境への配慮はもとより木の香りが家中に広がり、
玄関に入るだけで他の構造との違いを実感しました。

建築にあたり、わがままな注文も致しましたが快く引き受けていただき大変感謝しております。

現在、仕事の都合で大分県の杵築市に単身赴任しておりますが
新たな家の完成を家族全員が喜んでおり、月一回の帰郷が楽しみに変わりました。

これからも、いい家づくりに邁進してくれることを心より期待しております。
今後とも末永いお付き合いを宜しくお願いします。