無垢材の家具を選ぶ理由〜人に優しい無垢材の性質〜
無垢材の家具を選ぶ理由〜人に優しい無垢材の性質〜
まるで森の中にいるような安堵感と美しさ。
「無垢材の家具を選ぶ理由〜特徴と価値〜」でも説明したように、無垢材は一本の原木を、
必要な形の角材や板にカットしたもので、接着剤などの化学物質を一切使用しない自然素材です。
また、断熱・保温効果にも優れているという特徴があります。他にも様々な性質があり、
今回はこの無垢材の性質について話したいと思います。
調湿効果に優れる木材
天然の木は、伐採された後も呼吸を続けています。
無垢の木材の内部はたくさんの小さな空洞(細胞)がある多孔質という構造になっています。
この空洞が湿気の多い時には水分を吸い、乾燥すると水分を吐き出すことで湿度を調整してくれます。
湿気が多くなれば水分を吸収し、乾燥すると内部の水分を水蒸気として空気中に放散する、
いわば天然のエアコンということです。
よく木材は「呼吸している」といわれるのは、こうした調湿のメカニズムによる為です。
室内にできる限り無垢の木材を取り入れていけば、高温多湿の夏や乾燥する冬にその力を発揮し、
快適な住環境をサポートしてくれるでしょう。
奈良の正倉院は太い木材を横にして重ねていく校倉造り。
1300年近くの時を経た今でも、中の宝物を大切に守り続けているのは、木のもつ優れた調湿作用によるものです。
これは同じ天然の木を使用した家具にも言えることです。

無垢材が温かい理由
鉄やコンクリートなどに触れた時、ヒンヤリと冷たさを感じます。
これは、触れた時に物質に人間の体温が伝わり、触れた箇所から熱が急速に逃げていくためです。
これに対して、無垢の木材に触れると温かさを感じます。
この現象は「熱伝導率」というもので表されます。
この熱伝導率とは、物質が伝導によって熱を伝える度合いを数値化したものです。
無垢材の熱伝導率は0.15w/mです。
それに対してコンクリートは1.3w/m、アルミに至っては210w/mといかに木材が熱を伝えにくいことがわかります。
無垢の木材が熱を伝えにくいのは、その構造が小さな細胞の集合体であるためです。
それらの空洞の中には、熱の伝導を妨げる性質を持つ「空気」がたくさん含まれていることから、
高い断熱・保温効果を発揮するのです。
木の床などに腰を下ろすと、冬でも温もりが感じられるのはこのためです。
ダニ、カビ、細菌類に強い
木の精油には、ダニ、カビ、細菌類の繁殖を抑える働きもあります。
たとえば、ヒバや檜の精油成分であるヒノキチオールは、
100〜1000ppmの濃度でカビ類、ブドウ球菌、大腸菌といった細菌類の増殖を抑制。
ヒバ、檜、ベイヒバ、ベイスギ、赤松などはアレルギーや喘息の原因となるダニの増殖も抑えます。
また、木の「香り」の成分にもアレルギーの原因となるダニやカビの繁殖を抑える働きもあります。
心地良い木の香りは、現代のストレス社会において気分をリフレッシュさせるだけでなく、
空気をきれいに、快適に保つことが出来るのです。

ストレスを和らげる「癒し」
森林浴をすると、リラックスして心地よくなるのは、樹木が発する芳香成分(フィトンチッド)の働きによるものです。
フィトンチッドには、人間の自律神経を安定させる作用があると言われています。
この作用は樹木が伐採され、木材となっても失われないもの。
天然無垢の自然素材の家具を使用することで、普段の生活から森林浴効果が得られるのです。
また、無垢の木材にはさまざまな化合物が含まれており、樹種ごとに特有の香りを作り出しています。
香り成分のうちもっとも多く含まれるのが、テルペン類とよばれる揮発性の成分です。
かすかに漂うその香りは、ストレスや不安をやわらげる心理的作用のほか、
気道の働きを良くする効果や血圧を下げる効果なども認められています。

素朴な色味や質感を持つ無垢材のテーブルにすることで、まるで森の中にいるような安堵感と美しさ、
癒やしの空間を作り出すことができるでしょう。