古民家に新しく基礎をつくる

3月から始まったS様邸の古民家再生もまずは基礎を作っていきます。

南側は縁の下が覗けるくらいの高さがありましたが、
北側は基礎がほぼ無く(数センチ)、地面から土台まで空気が流れない状態でした。
古民家の土台

↓もうすぐ完成になる、T様邸の古民家も同じような状態でしたので 、はじめにまず基礎をコンクリで作るところから始めました。
土台を支える束を入れて、コンクリで固めます。
古民家リフォーム基礎作り

土台はヒバを使用します。
昔から土台にはヒバ・ヒノキ・栗が使われてきました。
家の全荷重が掛かるので目が詰まっていて固い木であることが大前提です。
1cmの中に30年分の年輪のあるヒバは堅く締まって、家全体を支えます。


自然の殺菌効果「ヒノキチオール」
ヒバは、湿気を感じるとヒノキチオールという殺菌防腐作用のある物質を出します。

「ヒノキチオール」なのにヒノキじゃなくてヒバなの?と思われるかもしれませんが
"台湾ヒノキ"から抽出した物質が"ヒノキチオール"と命名されたためにこの名前が付いています。
残念ながら、通常の日本のヒノキにはほとんど含まれておりません。

「ヒノキ」と付いていますが物質の名前なので、他の木にも含まれます。
特に多いのがヒバ、ですので当社では樹齢1000年クラスの北米産ヒバの無垢材を使用しています。

湿気を感じると切り口からヒノキチオールを発散します。
傷つけられた場所から木を腐らせる腐朽菌が入り込んでしまうといつか倒れてしまうので
自己防衛本能として備わった自然の殺菌力です。


加圧注入土台を使用した家が多い
大手ハウスメーカーや建売、ローコスト住宅では加圧注入土台が使われることが多いです。
うっすら緑色で、表面にたくさん穴が空けられていて、防腐剤漬けになった木材です。

乾燥が不十分なまま商品にする
素材となるカラマツはねじれながら育つ木です。
製材時に乾燥機に入れてしっかり乾燥させると、
育ってきたねじれを元に戻るようにねじれてしまい、商品として使えません。
ですので乾燥はしっかりせず、不十分なまま防腐剤に漬け込みます。

そしてそのまま住宅に使用します。

建ててから自然と乾燥するうちに、ねじれや割れが現れます。

↓2018年2月に完工した菊川市M様邸の、リフォーム前の解体時に出てきた加圧注入土台の大引きです。
加圧注入土台の割れ
土台の割れやねじれは、床鳴りや家全体の傾きに影響します。
しかも薬品が染みこんでいるのは表面のみ。
割れてしまえば、割れ目からシロアリが入る可能性は十分考えられます。


穴が開き薬が染みこむほど柔らかい木で家を支える?
土台は家の重みを全て受け止めるところです。
柔らかい木を使うと食い込み現象を起こし、床が沈んで構造全体がゆがんでしまいます。


湿気の多い日本で、湿度に合わせて自然と殺菌物質を放出するヒバは
土台としてこれ以上の材は無いほど最も適した材料といえます。