すぐに一般家庭に広まったわけではなかった。
当時、コーヒーは高級品だったのである。
その後、米英戦争の影響やアメリカの独立などを経て、
コーヒーの価格は徐々に下がっていった。
そして、1853年には初めてのインスタントコーヒーが開発されたのである。
その後、ベルギーから移住してきたジョージ・コンスタント・ルイス・ワシントン
という人物がインスタントコーヒーを大量生産する製法の特許を取得したものの、
さほど人気ではなかったようだ。
このいまいち人気がなかったインスタントコーヒーが一躍大人気になったきっかけは、
第一次世界大戦である。兵士たちが再び戦地に赴いたとき、戦場でも手軽に飲める
インスタントコーヒーは兵士のあいだで大変な人気を博した。
そして、インスタントコーヒー生産の特許をもつジョージの名前をとって
「カップ・オブ・ジョージ」と呼ばれるようになったのである。
戦争が終わってからも兵士たちはインスタントコーヒーを好んで飲み、
やがて一般家庭にも浸透していった。