関門と言うのは、2つの異なる場所を「結ぶ」ものであると
同時に、「仕切る」ものでもあります。「結ぶ」ことは、
まさに「縁」であり、日本の住まいは「縁」を大切にする
形になっていました。そして玄関には「迎える」役割があります
玄関の「結び」の意味を考えれば、出来れば玄関は少しでも
広くして、客人を迎えるときに、家族が並んで迎えられる
用に考えておきたいものです。
一方、玄関に「仕切り」の意味を考えれば、例えば茶室の
にじり口の役割を思い起こします。どんな身分の者であっても
刀をはずし、頭を下げて入り口を入らなければなりません。
ひとたび中に入れば、誰もが平等です。外と内を明確に
分けることで、考え出された入り口です。
「仕切る」という意味は、下界にある様々な善悪の事柄を
家族と言う内の世界には持ち込まないことを指しています
玄妙なるところへの関門と言う言葉には、「仕切る」役割が
強く残されているようです。「仕切る」ことによって気持ち
を切り替える役割を考えるのであれば、玄関は、少し狭くて
暗いつくり方をするのもふさわしくなります。