土間が、日本の文化の象徴と言えるのは、畳と同じ土足の
文化の中にあって、履き物を脱いではだしになり、時には
ごろりと横になる座敷の空間の側にある、下足の生活空間を
土間と呼んでいるからです。それは、一段上がった座敷と
区別された用途の空間であったと言うことです。そして、
日本人は土間を生活の中で大切にしてきました。
逆に日本の住まいの中で、明確な土間を持たなかったのは
支配者階級の武士の家と、士農工商にも含まれない
長屋暮らしの町人の家です。農家には家事だけでなく
家畜や農作業の場として立派な土間があり、商家には
客を迎える店、工人の家には作業場や製品を置く作業場が
土間でした。生活の中に職があり、コミュニケーション
を保つ場が土間であったと言うことです。