木材に関しての基礎知識/引張応力

芯持ち材の内部に強い引張応力(縮む力・割れようとする力)
が発生する時に内部割れが発生します。

芯持ち材表面が速く乾燥して、内部の乾燥が遅れると、
上段図のように表面ばかりが大きく収縮しようとします。

その結果、表面の細胞は内部のまだ縮んでいない細胞に収縮を邪魔されるので、
接線に沿った方向に引張られた状態になります。

引張られた状態で乾燥するので、ドライニングセットが形成されて、
表面は長い寸法を保ったまま、非常に低い含水率まで乾燥してしまいます。

その後、内部が乾燥を始めると内部の細胞は、
本来より長い寸法を保っている表面の細胞に収縮を邪魔されます。

このため、内部の細胞も接線方向に引張られ、結果として材内部に引張りが生じ、
これが内部割れを生じさせる力になります。

この引張応力が強すぎると、内部割れを生じます。

乾燥初期に表面で生じるドライングセットが大きすぎると、つまり表面があまり長い寸法のまま乾燥してしまうと、
内部の細胞の収縮が大きく邪魔されるため内に生じる引張応力は大きくなり、内部割れも大きくなります。

この様な理由から、高温セット処理は処理時間が長すぎると内部割れが大きくなります。

一方、処理時間が短すぎると、表面セットが不十分となって材面割れの原因となりますので、
処理時間を適切に設定することが重要です。




乾燥による木材の強度変化グラフ