森と木の家の落とし穴ー「平衡(へいこう)含水率」って知っていますか?

「平衡(へいこう)含水率」って知っていますか?

木材を
乾かすと、

収縮や変形が始まります。

しかし、しばらく放置すると収縮や変形が極端に少なくなり、大気の湿度と均衡した状態になります。

そのような水分状態を「平衡含水率」と言います。

また当然ですが、湿度の高い屋外と、低い室内ではそれぞれ平衡含水率が異なります。


「屋外平衡含水率」とは?

外気にさらされる場所では、木材は含水率30%を下回るころから収縮と変形を始めます。

そして15%~20%くらいまで下がると、それ以上乾かなくなります。

この状態の数値が「屋外平衡含水率」。

含水率が落ち着けば収縮と変形は起きません。

つまり、外気に触れる場所の木材をあらかじめ含水率にしておけば、施工後に木材が暴れる心配がないのです。


「十分講座」

「室内平衡含水率」とは?

では、室内はどうでしょう。


やはり屋外と同様に、含水率30%を下回るころから収縮と変形を始めます。

しかし、室内では5~10%まで下がらないと木材が落ち着きません。

冷暖房器具や断熱性能が発達した現代では、室内の湿度が昔より低くなりました。

そのため木材があばれないためには、含水率5%以下が要求されます。


一般の工務店やメーカーで使用されている
「人工乾燥材(KD材)」では?

人工乾燥材(KD材)の含水率は「屋外平衡含水率」が規準です。

「SD15(含水率15%以下)」「SD20(含水率20%以下)」の木材が出回っていますが、実はこれが当然のように「室内」で使われているのです!?

「屋外平衡含水率」の木材を室内に使用すれば、もちろん室内の湿度に伴って含水率も下がってきます。

そうすると、屋外では見られなかった収縮や変形が発生するのです!?






平衡含水率
(へいこうがんすいりつ)

木材を一定の温度の大気中においておくと、ある時点で水分が出入りしなくなる安定した状態


kD材
(けーでぃざい)

人口乾燥材


繊維飽和点
(せんいほうわてん)

自由水がなくなる繊維飽和点(約含水率30%)に達すると、木材の収縮や狂いが始まります。
つまり含水率が20~30%程度の木材乾燥では、意味がないのです。


全乾状態 
(ぜんかんじょうたい)

結合水がほとんど無くなる状態で、強制的に乾燥させた場合の状態です。


生材状態
(なまざいじょうたい)

含水率50%以上のことをさします。

木材は、細胞壁と自由水が含まれる空隙部分で成り立っています。

木材は乾燥していくとまず自由水が失われていきますが、この間木材は収縮を起こしません。